特別講演

宇宙を人類の生活圏に ~日本発の民間月面探査への挑戦~

日時・場所

11月17日(土)16:30〜17:30 大教室 S21

講師

袴田 武史 氏(ispace)

概要

ispaceは「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ,持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ,日本発の民間月面探査を目指す宇宙スタートアップ企業です.
私たちは,月に着目しています.月に眠る貴重な水資源を活用して宇宙インフラを構築するため,月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」にチームHAKUTOとして挑戦.その開発を通じて獲得した技術やノウハウを活かしながら,レース終了後も民間開発の月着陸船と月面探査機による独自の月周回ミッション,月面着陸ミッションに取り組んでいます.
今回はispaceのビジネスモデル,技術,ミッション,国内外の政府や他産業との連携などをご紹介します.2040年,月に1,000人の人が住み年間1万人が旅行する.人間の生活圏が宇宙に広がる未来を共に目指しませんか.

講師略歴

袴田 武史 氏

株式会社ispace代表取締役兼ファウンダー.子供の頃に観たスターウォーズに魅了され,宇宙開発を志す.ジョージア工科大学で修士号(航空宇宙工学)を取得.大学院時代は次世代航空宇宙システムの概念設計に携わる.その当時,Ansari XPRIZEにより民間有人宇宙飛行が成功し,民間での新しい宇宙開発時代の到来を感じる.民間での宇宙開発では,経営者が必須になると考え,大学院卒業後,外資系経営コンサルティングファーム勤務.プロジェクトリーダーとして幅広い業種のクライアントにコスト戦略および実行を中心にコンサルティングサービスを提供.2010年よりGoogle Lunar XPRIZEに参加する日本チーム「HAKUTO」を率いた.

特別企画

特別企画1 非協調・非協力の動的システム科学と制御

日時・場所

11月17日(土)14:45〜16:15 第1室 S47

企画

計測自動制御学会 制御部門 超スマート社会実現のためのシステム制御技術調査研究会

オーガナイザ

早川 朋久(東京工業大学)
永原 正章(北九州市立大学)

概要

近年のAI, IoT技術の進展にともない,経済・社会システムのデジタル化が急速に進んでいます.この産業革命にも匹敵するデジタルトランスフォーメーション(DX)は,我々の経済・社会活動を著しく変化させ,これまで考えられなかったきめ細かなサービスが実現可能になってきています.特に,これからのSociety5.0と称される社会における各主体の活動は,それぞれの価値基準が尊重され,適切なインセンティブをミクロに設定することによって,個別の効用と社会全体の効用を両立的により高いレベルで追求(制御)できるようになってくると考えられます.

本特別企画ではOS27と連動し,未来社会で想定されるミクロなエージェントの振るまいとその総体としての特性について,各分野での第一人者の方々にゲーム理論,オークション,マッチングのフレームワークを語っていただきます.

プログラム

14:45〜15:30 ゲーム理論はアート:日本の未来をデザインする政策のための第三の道

松島 斉 氏(東京大学)

ゲーム理論は,経済学,社会科学のための,いわば最強アートです.なぜなら,ゲーム理論という名のモダンアートによって,社会の隠された論理の本質が白日の下にさらされるからです.そして,アーティストの超個性的なイマジネーションによって,未来の問題解決のための,斬新な指南書が作成されるからです.
こんなゲーム理論は,市場原理主義でも,官僚徹底主義でもない,政策のための第三の道,「メカニズムデザイン」を開拓してきました.今日の日本社会の貧困は,この第三の道による救済を切に必要としています.
本講演は,短い時間ではありますが,ゲーム理論の事始めを,わかりやすく,刺激的に解説します.経済学とのかかわりにも言及しながら,さまざまな問題(放送・通信のスペクトラムアロケーション,キャリアマーケットデザイン,電力・環境ネットワークデザイン,金融システムデザイン,パテントプラットフォーム,監視なき監視,タブー,クリプトエコノミー,難民セツルメント,などなど)をどうとらえるかについて,「ゲーム理論マジック」が提供してくれる驚きとひらめきを,ぜひ堪能してください.

15:30〜16:00 計算量理論とマッチング

神山 直之 氏(九州大学)

本発表では,常に解を持つ問題の難しさを明らかにするために Papadimitriou によって導入された計算量クラスPPADの概要と,ゲーム理論に関係する計算問題 (特にマッチング問題) とPPADの関係をを紹介します.

16:00〜16:15 利己的エージェント集団のゲームダイナミクスとその制御

金澤 尚史 氏(大阪大学)

本発表では,利己的ではあるが限定的な合理性しか持たない多数のエージェントが相互作用する「社会」に焦点をあて,個々のエージェントの戦略の変化を考える代わりに,その集計的な振る舞いである各戦略のシェア(社会状態)の変化を記述するゲームダイナミクスを紹介します.また,各エージェントに税と補助金を課すことで「社会」を間接的に制御し,目標とする社会状態を実現する制御法について概説します.

特別企画2 制御と形式手法:物理情報システムの品質保証に向けた包括的取り組み

日時・場所

11月17日(土)13:00〜14:30 第5室 S56

企画

JST ERATO 蓮尾メタ数理システムデザインプロジェクト
豊田理化学研究所特定課題 「制御工学研究者と応用数学研究者の連携による革新的な制御理論構築」

オーガナイザ

脇 隼人(九州大学)
蓮尾 一郎(国立情報学研究所)

概要

近年,自動車などの工業製品にデジタル制御が盛んに導入され,動作の効率化のみならず,自動運転などの全く新しい機能が実現されています.しかしその結果,物理情報システムの品質保証という大きな課題が現れており,制御理論・制御工学のみならず計算機科学(特にソフトウェアの品質保証のための形式手法とよばれる諸手法)の成果をも統合した包括的取り組みが求められています.この課題に対して,制御・形式手法の両面からアプローチし,機械学習やソフトウェア工学による実践的技術も包含しつつ,さらに(メタ)理論と産業応用の両方をカバーしながら研究を行う私達の取り組みを紹介し,議論や協働のきっかけを提供すべく,本セッションを企画しました.

プログラム

13:00~13:30 物理情報システムの検証手法:制御と形式手法の相互理解,そして協働へ

蓮尾 一郎 氏(国立情報学研究所)

物理情報システムの品質保証においては,連続ダイナミクスの解析を担う制御理論と,計算機制御による離散ダイナミクスの解析を担う計算機科学(特に形式手法),この二分野の協働が欠かせません.ここ10年余りの物理情報システム研究の高まりを通じて,両分野の内容の数学的相似性が次々に明らかになってきたと同時に(たとえばLyapunov関数とランク関数の間の相似性),各分野の手法の相互乗り入れが盛んになってきました(たとえばシステム制御における時相論理式や双模倣関係の活用).加えて最近は,機械学習の急速な進歩を受けて,上記二分野と統計的最適化・機械学習との関わりがホットな話題となっています.これらの動向について,発表者の最近の結果を具体例として用いながらお話します.

13:30~14:00 品質保証における発見的・経験的アプローチの活用:ソフトウェアテスティング分野からの知見

石川 冬樹 氏(国立情報学研究所)

ますます複雑になるソフトウェアの品質保証に対しては,形式手法など理論に基づいた保証だけでなく,テスト,すなわち「いろいろ動かしてみる」ことによるアプローチが盛んに研究・活用されています.本講演では,進化計算を用いるサーチベースドテスティングなど,テスト自動生成に関する近年の技術やその成果を紹介します.また,理論に基づくアプローチとの連携,そして制御システムや自動運転システムへの活用について論じます.

14:00~14:30 半正定値計画問題のプログラム検証への応用

脇 隼人 氏(九州大学)

ソフトウェアが正しく動作するか調べる方法の一つとして,NelsonとOppenによるinterpolantと呼ばれる論理式に基づく判定法が知られています.DaiらとOkudonoらは,半正定値計画法を利用したinterpolantに基づく判定法を提案しその有効性を主張しています. 簡単にいうと,多項式の等式や不等式で記述された相反する二つの集合に対してそれを分離する多項式不等式を見つける問題に帰着しPositivestellensatzを使っています.この講演では, これらの仕事に対して係数の少ない(いわゆる疎な)多項式を見つける方法を紹介したいと思います.

特別企画3 遠隔操作と自動制御の協調による遠隔施工システムの実現に向けて

日時・場所

11月18日(日)13:00〜14:30 第7室 S58

企画

鹿島建設 技術研究所
宇宙航空研究開発機構

オーガナイザ

浜本 研一(鹿島建設)
若林 幸子(宇宙航空研究開発機構)

概要

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)「太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ」では宇宙探査に新たな産業が参加できる場を設けるとともに,非連続的に人類の生存圏・活動領域を拡大させるための革新的な宇宙探査技術へ挑戦することで新たな技術イノベーションの実現を目指しています.本特別企画では,当該インベーションハブで取り組んでいる課題「拠点建設を実現する遠隔施工システム」の紹介およびそれに係る研究成果を発表します.

プログラム

13:00~13:15 遠隔操作と自動制御の協調による遠隔施工システムの開発〜実物大建機によるデモンストレーションへの適用

浜本 研一 氏,三浦 悟 氏(鹿島建設)

13:15~13:30 宇宙遠隔操作技術と自動化技術の融合による月面拠点建設に向けた遠隔施工システム

保中 志元 氏,若林 幸子 氏,森本 仁 氏,星野 健 氏(宇宙航空研究開発機構)

13:30~13:45 LEGO MINDSTORMS EV3 を用いた遠隔操作システムの実機検証

横山 浩一郎 氏,増田 倫也 氏,宇多 峻佑 氏,小木曽 公尚 氏(電気通信大学)

13:45~14:00 スパース最適制御に基づく直線的な軌道生成手法について

濱田 聖司 氏,丸田 一郎 氏,藤本 健治 氏(京都大学),浜本 研一 氏(鹿島建設)

14:00~14:15 深層強化学習 (Double DQN) による施工機械の自律制御

孫 澤源 氏,中谷 優之 氏,田邊 峻也 氏,内村 裕 氏(芝浦工業大学)

14:15~14:30 深層強化学習を用いたブルドーザまき出し作業経路の自動生成

田島 大輔 氏,浜本 研一 氏,三浦 悟 氏(鹿島建設),登尾 大地 氏,中山 裕 氏,林 和彦 氏(小松製作所),Tangkaratt Voot 氏,前原 貴徳 氏(理化学研究所)

技術交流会

日時

日時:11月17日(土)19:00〜

場所

場所:名古屋国際ホテル 2階 老松の間・若竹の間

会場の詳細はこちらをご覧下さい.

技術交流会参加費
事前登録 当日登録
一般 6,000円 8,000円
学生 4,000円 8,000円